春の小川のモデル河骨川と渋谷川源流探訪

春の小川のモデル河骨川と渋谷川源流探訪春の小川のモデルとして知られる東京の暗渠「河骨川」と宇田川渋谷川を巡る暗渠探訪

走行日 2010年4月25日(晴)
走行距離 13 km
使用した愛車 HANDY BIKE
コース概要 JR新宿駅→玉川上水跡→河骨川源流→高野辰之住居跡→河骨川流路→春の小川記念碑→河骨川&宇田川合流→宇田川遊歩道→西武A館とB館→宇田川&渋谷川合流→渋谷川→キャットストリート→四季の庭→渋谷川欄干→渋谷川源流→新宿御苑

なんだか今年は気温が安定しないですが、ようやく春がやってきました♪
春、川沿いを走っている時に心に響くメロディといえば「春の小川は、さらさら行くよ。 岸のすみれや、れんげの花に」というわけで幼い頃に小学校で謳った「春の小川」なわけですが、この歌のモデルが東京都を流れていた「河骨川(こうほねがわ)」であることを知ったときは心の底からビックリしたものです(笑)

この事実を知って以来いつか走りに行こうと思っていたのですが、小春日和に恵まれた本日、都内に出かける用事が出来たので、その前に源流から流れを探検してみることにしましたよ~

河骨川は、現在の東京都渋谷区代々木4-26付近の山之内侯爵邸内(土佐二十三万石の大名山之内一豊公江戸下屋敷)にあった遊水池を源流とし、渋谷区富ヶ谷1丁目9−25付近で宇田川に合流していた渋谷川の支流の一つです。春の小川の作詞家「高野辰之」氏の邸宅が河骨川の源流付近にあり、よく河骨川を散歩していたことから「春の小川のモデルは河骨川である」といわれています。

なんかこう、全然イメージ違うんですけど(笑)

ともあれ、かつてはサラサラ流れていたという春の小川の現在を探検してみましょう!
本日の資料である東京ぶらり暗渠探検を手にJR新宿駅までやってきました。この本ホント面白くてドキドキです、マジで。 新宿駅から春の小川「河骨川」へは、以前走った玉川上水の暗渠を西へ向かいます。この辺りのルートについてはリンク先でどうぞ。 しばらく行くと首都高速4号線の高架下に出ます。都庁を右手に見ながらさらに進むと河骨川の源流まであとちょっと。
資料によると河骨川の源流は東京都渋谷区代々木4-26付近(刀剣博物館の東側)にあったようです。
かつてこの付近一帯は山之内侯爵邸であり、その中にあった湧水池が河骨川の源流らしいのですが、その名残は何一つ残されていません。
写真中央の窪んだ辺りに河骨川が流れていたらしい。写真左のアルス代々木というマンションの奥に湧水池があったそうですが・・・ マンションの駐車場を覗くと、奥が半地下になっています。あの辺りが池だったのでしょうか? さらに裏側に回ってみたけどそれっぽいモノは何もありません。写真中央のマンション付近が源流。

春の小川のモデルが渋谷区の河骨川であることはテレビ等でも紹介されていて結構有名。そのせいで探しに来る人が多いのか、電柱などに「春の小川ここ」とか「春の小川水源スグ」といった至れり尽くせりな案内が貼られています。

が、しかし。
肝心の源流部の池に関する「ここです」的な表記は一切無く、目印を求めてウロウロ・・・。してたら、近所に住んでいるという方が声をかけてくれました。

しかも親切なことに散歩ついでに春の小川を案内してくれると♪
昭和25年くらいからこの近くに住んでいるということで、その頃のこの辺りの風景のことや一人では発見できなかったであろうアレコレを教えてもらえてラッキー。

ちなみに源流部を示す目印や遺構は全く残されていないそう、残念。
まず案内していただいたのが、春の小川の作詞家「高野辰之」氏の住居跡。源流からホントスグそこ。向かい側の家に住んでいるのが高野さんなんですが子孫でしょうか? ←から西へ戻ったところにある切通しの坂。今はマンションが並ぶ坂の右手はかつての山之内侯爵邸の南端にあたり、敷地に沿って長い土塀が続いていたそうです 切通しの坂を下りきった谷底が河骨川の流路です。親切なことに電信柱に「春の小川この通り」と案内が出ています

未だかつて無いわかりやすさの暗渠です(笑)
そこまでするなら埋めなきゃ良いのにとも思いますが、河骨川自体は東京オリンピックの頃に埋められてしまったので仕方なんですけどね。

流れは低層の住宅が密集する中を進みながら小田急線参宮橋駅の方へと流れて行きます。
暗渠沿いの壁をよく見ると古い護岸の跡が残されており、暗渠につながる排水管が出ていたりもします 水路沿いでおなじみの銭湯を発見。廃業してしまったらしく廃墟化した煙突がちょっと寂しげ。 参宮橋駅前の商店街と交差。左右が坂になっていて河骨川が谷底を流れていることが分かります。
そのまま暗渠に沿って進んで行くと参宮橋駅の南側で線路とぶつかり行き止まりになります。
北側の踏切まで迂回し線路を越えると旧東京オリンピック村(現在、国立オリンピック記念青少年総合センター)が目の前に見えますが、河骨川はその西側の大きな通りの辺りを流れていたようです。
参宮橋駅の南側で線路に道を遮られますが、突き当たりを左へ折れる小径があるので踏切へ迂回します。 国立オリンピック記念青少年総合センターの向かい側にあった「万豚記」というラーメン屋。やたら行列しててドキドキ!? しばらく大通りを進むと右手に分かれていく小径があり、河骨川の暗渠は再び裏道の小さな小径となります。
小田急線の線路を越えた河骨川は流れの向きを南西へ変え、小田急線に沿うように流れて行きます。
この辺りはホント、「住宅街の路地裏」っていう雰囲気で楽しげ~
河川跡の暗渠によくある緩やかにカーブを描く裏道 線路に沿って続く小径ですが、「春の小川」であることを示す看板がしっかり建っています。 石積みの護岸跡と見られる遺構に階段のようなモノが残されていました。かつての水場でしょうか?
一旦線路から離れて住宅街へ。この辺のお宅ってこの小径にしか接してないので再建築不可なのでは・・・? 代々木公園の西側で再び線路沿いに戻ると、「春の小川記念碑」が建てられていました。 その向かい側にあった今にもアレしそうなアパート。驚くべき事に住んでる!?

ちょっと、代々木公園に寄り道して、再び河骨川の暗渠を追います。
と、ここで案内してくれた地元の方とお別れです。道中、いろんな話を聞かせていただき楽しかったです!

さて、流れは小田急線代々木八幡駅手前で小田急線を離れ住宅街の中を東京メトロ代々木公園駅の方へと進みます。
トイレに寄ったついでにちょっとだけ代々木公園内を散策。公園内にはサイクリングロードもあります。 小田急線いを走っていくと再び古い護岸と排水管を発見。こういうのが残ってるとちょっと嬉しいw 東京メトロ代々木公園駅の地上付近。流れは正面に続いていきますが、よく見ると写真右の角に橋の欄干と思われる石柱が残っています。

楽しかった、春の小川=河骨川探訪ですが、河骨川の流れは東京メトロ代々木公園駅の南側で宇田川へと合流して終了となります。
んで、引き続き宇田川を下っていきたいと思います。

ちなみに宇田川は、ここから西側の渋谷区西原付近を源流とする川で、こちらの流路も暗渠化されていて面白そうなのでまた別の機会に走ってみたいと思います。
河骨川が宇田川へ合流するポイント。両方とも暗渠化されているので、川と川が合流している気配はみじんもありません。 河骨川と合流する辺りから、宇田川の暗渠は「宇田川遊歩道」として整備されているので車が来なくて幸せ~ 周囲にはちょっと変わったショップがあったり、川の流れに沿って蛇行する様子が見られたりと暗渠感満点
NHK放送センターの南側付近で宇田川遊歩道は終了し、暗渠は一般道となります。
流れはそのままJR渋谷駅方面へ~
なんだか不自然なガードレール。宇田川の護岸のコンクリートを埋め殺した上に付けてると思われます JR渋谷駅が近づくにつれて町が賑やかになり人も増えてきました。この下が川だとは思えない~。 渋谷の西武A館とB館の間の井の頭通りは、なんと宇田川の暗渠の上の道なのです。
ところでこの西武A館とB館、二つに分かれた建物は写真のように3階と5階でつながっています。
普通なら地下でも繋げたいところなんですが、まさに地下を宇田川が流れているため地下はつながっていないんですよね~。買い物的にはとても不便だと思いますが地下帝国のロマンに思いを馳せる瞬間ではあります(笑)
宇田川の流れはそのまま真っ直ぐ進み、JR山手線の線路下をくぐって行きます。 線路を越えたところには「のんべい横町」というこれまた味のある飲み屋街がありました。一度こういうところで飲んだくれてみたいw のんべい横町の先、現在駐輪場となっている辺りで、宇田川が渋谷川に合流しています。渋谷川も暗渠なので川らしい風景は見あたりません(笑)

さて、春の小川の流れを追って河骨川・宇田川と走ってきて渋谷川へとたどり着きました。
このまま渋谷川を下るという手もあるのですが、良いのか悪いのか渋谷駅より下流の渋谷川は暗渠化されておらず、また川沿いの遊歩道もないため流れを追うことは出来ません。

う~ん・・・

と、ここで以前タモリ倶楽部で渋谷川の暗渠探訪をやっていたのを思いだしました!
下流はあまり楽しそうじゃないですが、逆に上流は暗渠化された流れがキャットストリートという若者の街になってたりして、その変貌っぷりが楽しそう♪

よーし、じゃ渋谷川を上流に遡って源流まで行っちゃうよ!
宮下公園を抜け明治通りを北へ進むとこんな感じで二股に分かれています。これを右へ折れるとキャットストリートです。 かつて川だった時の護岸と柵をそのまま利用して公園が作られてたり~ 側道が一段低くなってたりと、ちょっと変わった風景ですが、ここが渋谷川だと分かって見ると面白さ抜群!

キャットストリートはかつての渋谷川の流れを暗渠化した通りなのですが、護岸の構造物などを壊さずに蓋をしてしまったらしく、アチコチにかつての護岸の名残が残っています。

写真上左の道は、渋谷川が開渠だった頃の側道で、現在メインとなっている部分が暗渠の上ってな感じ。
不自然に薄い建物と何となく怪しい分かれ道。おそらく右側の道は河川改修前の旧流路だったのではないかと。 表参道と交差する部分には「参道橋」と書かれた橋の親柱が残されています。 ズバッと延びる表参道。写真右手の辺りには鎧の池という池があり渋谷川の源流の一つだったそうです

いや~、表参道付近はもの凄い人!
若い子が集まる街は活気があるね~、とか考えながら走っている時点でオヤジ臭が漂うわけですが、一方、HANDYBIKEはこういった場所でやたら注目を集めてしまいドキドキ。

ちなみにキャットストリートの由来は、昔、猫が沢山いたのを見た地元の高校生が「猫通り」と呼び始めたことらしいですよ・・・
表参道を越えてもキャットストリートはまだまだ賑やか! 原宿通りを過ぎてちょっと静かになってきたなぁと思っていたら、また護岸を利用したガードレール。さらに写真奥には謎の煉瓦造の構造物も・・・? omamoriというお店にはアトムっぽい牛もいました。
人もまばらになり、風景は一変して静かな住宅地を進む渋谷川。
そのままのんびり登っていくと外苑西通りへ突き当たります。
緩やかに蛇行しながらもちょっと坂が急な感じに。この辺りは流れが激しかったのかな~? 渋谷川の流れは外苑西通りに沿って北上し、国立競技場西側の「四季の庭」の辺りを流れていたようです。 国立競技場の北側で暗渠を見失いますが、東側(写真右)は高台なので外苑西通りの辺りを流れていたのかな?と想像してみる。

さぁ、渋谷川の源流はもうすぐそこ!

渋谷川の元々の源流は、現在の新宿御苑内にある上の池・中の池・下の池と連なる細い谷「千駄ヶ谷」にあったようです。具体的には新宿御苑の西側にある天竜寺の境内にあった「弁天池」が源流だったようですが、今は埋め立てられて影も形もありません。

その後、江戸時代に玉川上水が造られその余水を新宿御苑東側の流路で渋谷川に流していたとされ、こちらももう一つの源流といえます。

新宿御苑に入るのは有料かつ自転車は×なはずなので、今回は新宿御苑東側の玉川上水余水吐側の流れを追ってみようと思います。
JR千駄ヶ谷駅の北東にある道。これをまっすぐ行くと下の池があるはずなので、昔の流路かな~?と眺めていたら・・・ 道端に橋の親柱と思われる石柱を発見!でも、こちらの流れは追いません~ そのまま外苑西通りを北上していくと新宿御苑の石垣に沿って怪しい小径を発見!?
が、この小径はマンション工事によってすぐに遮られてしまいます。ちぇ~。
(しかも↓の通りこの隙間は川の流れではありませんでした)
流れを追えるところはないか探しつつ北上すると、交番の手前で橋の欄干らしきモノが!!どうやらこの下を渋谷川が流れていたようです! 欄干の先には枯れ果てているものの、まさしく川の流れていた跡が。おぉう、興奮するぜ~ 先ほどの欄干の方に向かって口を開ける暗渠の入り口。
どうやら玉川上水余水吐の流路は新宿御苑の東縁にそって流れていたようです。
しかし流路の際まで住宅が建っておりなかなか流路跡を見ることができない~。
上流端の手前にてついに川に降りられる場所を発見!積まれた古い石垣と、川面に降りる階段に大興奮。 んで、ここが渋谷川の上流端(玉川上水の終端) もしかしてこれは玉川上水の流路なのかな?と考えながら管理用道路を抜けると新宿御苑の四谷大木戸門にでます

春の小川のモデルとなったという河骨川(こうほねがわ)の流れは、宇田川・渋谷川と流れ途中で古川と名前を変えて東京湾に注いでいます。

今となっては「春の小川は、さらさら行くよ」と謳われた景色は全くといって良いほど残されていませんでしたが、その代わり暗渠の上には楽しい小径の風景があり、ポタリング的にはそれもアリだよねって感じです。

また最後の渋谷川では、暗渠巡りの最後に昔のまま残された開渠の流路を見ることとなり、その対比がまた面白い!

新宿・渋谷の地下に隠された川のロマン。
雑然とした都会の風景をちょっと違った視点から眺める楽しいサイクリングでした♪
 

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